建設業

建設業許可って?

1件当たりの請負金額が500万円以上となる場合、建設業の許可が必要となります。

上記金額を下回るものは、軽微な工事となりますが、軽微な工事しかされなくても、許可を持っている企業、個人の方は多数いらっしゃいます。

それは、お願いする側から見れば、許可を持っている=安心して任せられるという心理が働くからだともいえます。

◎概要

建設業を行う際、1件の請負金額が税込み500万円以上になると、建設業の許可を取得しなければなりません。

(建築一式の場合は1件の請負金額が1500万円以上、又は延べ面積150㎡以上の木造住宅)

許可業種が28に分かれており、(平成28年には1業種増える予定です)、有名なところでは、建築一式工事、大工工事、土木工事、管工事、電気工事、内装仕上げ工事、などがあります。

許可の種類も「一般」と「特定」があり、下請に支払う金額が3000万円以上(建築一式は4500万円以上)になると、「特定」に、それ以下であれば「一般」になります。

また、都道府県内に事務所を置く場合は都道府県知事許可が、2都道府県にまたがって事務所を置く場合は大臣許可と、許可権者(申請先)も変わってきます。

「うちは小さい工事しかせんけん、許可はいらんね~」という社長さんの声を聞きますが、そのような企業さんであっても、私は許可の取得をお勧めします。許可を取得することは、お金も時間も手間もかかり、決して簡単ではありません。

しかし、事業展開を考えると、許可を持っていた方がビジネスチャンスにつながる可能性も秘めています。

実際に、小さい工事を中心にされていた企業さんから、「許可持っててよかったよ~500万円を超える仕事がきたよ!」という話を何度か伺いました。その時、許可って本当に大事だなと痛感した次第です。

仕事を依頼する側としては、許可を持っている会社だったら大丈夫だな心理が働くでしょうし、500万円以上の工事はしない会社であっても、お客様に「うちはちゃんと建設業許可を持っていますよ」と、お客様に安心感をアピールすることができるという利点があります。

また、コンプライアンスという観点からも、元請企業や下請企業に対し、適正に仕事を行う優良企業であることの一つの指針になるかと思います。

建設業許可取得に少しでも興味が湧いてこられましたら、ぜひご連絡ください。

更新が近づいてきて困ったなという書類作成担当者さんも、お気軽にご連絡ください。

◎許可取得要件

許可を受けるには、次の項目に掲げる要件を満たしていることが必要です。

(1)経営業務の管理責任者が常勤であること

(2)専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること

(3)請負契約に関して誠実性を有していること

(4)請負契約を履行するに足る財産的基盤又は金銭的信用を有していること

(5)欠格要件等に該当しないこと

(6)暴力団の構成員ではないこと

*『平成25年度改訂版 福岡県建設業許可申請等の手引き』より抜粋

上記を具体的に説明すると・・・

1.建設業の許可を取得するためには、2つの柱となる役職者が必要です

①経営業務の管理責任者

文字通り、経営に関する責任者のことです。建設業の経営経験がある方しか就任することができません。建設会社の取締役だった方や、個人事業主として建設業をされていた方が対象になります。細かい要件はありますが、取得したい業種の経営経験が5年以上ないと経営業務の管理責任者にはなれません。常勤でなければならず、次に説明する専任技術者と兼務することも可能です。

②専任技術者

こちらは、技術面における責任者です。基本的には、業種ごとに設置されますが、要件が合えば1人で他業種の専任技術者を兼ねることができます。対象になるのは、

a.専門の資格を保持している方
b.専門の学校・学科を卒業され、一定の実務経験を積まれている方
c.実務経験10年以上ある方

です。たとえば、「1級土木施工管理技士」の資格をお持ちの方の場合、8種類の業種が該当しますので、その全ての専任技術者になることができます。こちらも、常勤でなければならず、基本的には営業所に勤務しておかなければなりません。(工事現場で事故が起こったときなど、すぐに対処する必要があるため)

2.「誠実性」とは

「不正な行為」をせず、法を遵守し、請負契約を全うしなければなりません。ここでは特に、法律違反、契約違反を意味し、不正を働いてはならないと考えていいでしょう。

3.財産的基礎は特に大事です

自己資本が500万円以上ある、または500万円以上の資金調達能力があることが必要になります。具体的には、法人であれば、資本金500万円以上が望ましいです。資本金が500万円未満であっても、銀行の預金残高が500万円以上ある、または固定資産評価額が500万円以上の不動産をお持ちであれば、こちらは条件クリアです。

上記の説明は、都道府県知事許可の「一般」建設業の許可要件になります。「特定」や大臣許可の場合は、別途ご相談ください。

4.その他

社会保険や雇用保険の加入はされていますか?

現在建設業における法律上は、社会保険などの加入は許可要件にはなっていませんが、近年の社会情勢の変化に伴い、建設業界の社会保険加入の動きが数年前から活発化しています。保険未加入の許可業者に対し、行政が指導を行い、それでも加入しない場合は、関係省庁に通知するという話もあります。まだ加入されていない場合は、建設業に関係なく、法令遵守の観点から早めの保険加入をお勧めします。

◎変更届、入札関連

1.許可事項の変更届出

①経営管理責任者、専任技術者や、②本店及び営業所の所在地を変更した場合、法人であれば役員や商号変更をした場合などは、変更届出書を提出します。

①の場合は変更から2週間以内、②の場合は変更から1ヶ月以内に提出しなければなりません。変更から随分たった後に気づいて、面倒なので建設業の更新と一緒に提出するなんてことがあると、役所から始末書、理由書などの書類の提出を求められる場合があります。まずは、何か変更したら変更届出書!の意識が必要ですね。

2.決算変更届出書

決算後4ヶ月以内に、建設業法にのっとった決算書を提出する必要があります。税理士さんが作る決算書と、この決算変更届出書は、勘定科目や数字の振り分けが違います。決算書は、決算後2ヶ月で作成され確定申告がなされますが、そのさらに2か月以内に、決算変更届出書を提出しなければなりません。税理士さんから決算書をいただいたら、早めに決算変更届出書の作成に着手しましょう。ちなみに、この決算変更届出書、毎年キチンと提出しないと、次の許可更新ができなくなる自治体が多いようです。

3.経営審査事項(経審)

公共工事に参入する場合、必ずこの審査を受けなければなりません。この審査を受けた後に、入札参加資格審査申請(いわゆる指名願)をして、業者名簿に載せてもらいます。審査申請書類の作成は難易度が高く、準備する書類も審査業種が多ければそれだけ数も増えます。また、経審の点数により入札に参加できる工事が変わってきますので、お任せいただけましたら、書類作成だけでなく少しでも点数を上げるためのアドバイスをさせていただきます。

4.入札参加資格審査申請(指名願)

経審後、この申請をすることにより、公共工事などを請け負う役所の業者名簿に記載され、入札に参加することができるようになります。名簿の有効期限は2年の自治体が多いですが、稀に申請する市町村内業者と市町村外業者で期限が違う自治体もあります。また、有効期限が同じ2年でも、申請受付期間が異なりますので、都度確認が必要です。

終わりに

建設業許可に関する書類の作成は、業務と平行して行う事務処理としては本当に煩雑で大変なものです。許可を取得すれば5年に1度は更新がありますし、その有効期限内に社内で変更があれば都度変更届の提出があり、年に1度は決算変更届の提出もあります。公共工事をするには毎年経審や指名願があります。ギリギリになってバタバタ作れるほど簡単な書類ではありませんし、管理も大変です。安心して通常業務に目を向けていただくために、私がしっかりサポートさせていただきますので、どのようなことでもお気軽にご相談ください。

 

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