〇国交省/社保未加入5万業者に行政指導書、異例の一斉送付/17年度初めに通報も完了
国土交通省は、16年1月以降に建設業許可の更新期限を迎える社会保険未加入業者約5万1400社に対し、加入を指導する国交相名の行政指導書を11月2日から送付する。万単位の数の業者に行政指導書を一斉に出すのは異例の措置となる。対象の大半は都道府県知事の許可業者で、知事許可業者に国交省が直接指導を行うのも珍しいという。社会保険加入の徹底に向けた同省の強い姿勢を示し、17年度の「許可業者100%加入」の目標達成を目指す。
現在は、建設業許可の更新時点で未加入が判明した場合、加入指導を行っている。ただ、このやり方だと、すべての未加入業者への指導が完了するのが、17年以降にまでずれ込む可能性が高かった。このため更新時期に合わせず、今年11月に前倒しで一斉に指導する。指導を前倒しすることで厚生労働省への未加入許可業者の通報を17年度初めまでに完了させることが可能になる。
指導対象となる業者は、社会保険加入のデータと、大臣許可・都道府県知事許可業者のデータを突き合わせることで洗い出した。大半が知事許可業者だが、大臣許可業者も一部含まれるという。個人経営の事業所は対象から除いている。
対象業者は経営事項審査(経審)を受けていないため公共工事は受注しておらず、建設業許可部局とは許可更新時にしか接点のない民間工事中心の業者が多いとみられる。業界団体などにも加盟していない可能性が高い。
加入指導は建設業法41条に基づく措置。指導書では、建設業の人材確保や業者間の公平な競争環境を確保するため、速やかに加入手続きを行うよう求め、通報後も加入しない場合は、同法に基づく指示処分や営業停止などの「行政処分を行うことがありえる」と明記した。
同法41条によると、国交相は許可を持たない建設業者も含め行政指導を行うことができるが、都道府県知事の許可業者に直接働き掛けることはまれなケースだ。
対象業者には、指導書と併せて社会保険加入の必要性や、加入に必要な法定福利費に関する説明資料のほか、社会保険に関するQ&Aも送付。国交省の取り組みを紹介するホームページや、各社会保険の問い合わせ窓口なども紹介する。
[日刊建設工業新聞2015年10月30日1面より抜粋]